選手レポート

阪神#3 大山 悠輔
本塁打王へ邁進する大山悠輔の変貌

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■チーム34年ぶりの本塁打王へ邁進中


10月18日終了時点で26本塁打とセ・リーグ本塁打ランクトップに位置する大山悠輔。本塁打王となればチームとしては86年のバース氏以来34年ぶりの快挙である。

16年ドラフト1位で入団して4年目のシーズン。金本前監督の期待も背負いつつ成長を続けてきた大山の変貌と本塁打王への道のりを数値から読み解いていきたい。

■19年シーズンからの変化


★長打率・IsoP・本塁打率★
長打率:.401(2019)→.595(2020)
IsoP:.143(2019)→.297(2020)
本塁打率:38.4(2019)→13.6(2020)

【長打力を示す指標が軒並み良化】
長打率は村上(S)と僅差でのリーグ2位と高水準。純粋な長打力を示すIsoPも大幅な上昇が見られ、昨年以上に長打の脅威は増している。本塁打も昨年は38.4打数で1本ペースだったのに対し、今年は13.5打数で1本と約3倍のペースで量産中である。

★打率・出塁率★
打率:.258(2019)→.297(2020)
出塁率:.312(2019)→.358(2020)

【確実性も上昇】
打率、出塁率も良化が見られ、長打力を発揮する中で確実性も増している。ただ、リーグ単位で見ると出塁率は14位と突出して高い数値ではなく、村上や鈴木誠(C)、佐野(De)といった各チームの主軸とは開きがある現状である(リーグトップは村上:.425、鈴木誠:.401、佐野:.395)

★BB%・K%・二塁打率★
BB%:6.6%(2019)→8.0%(2020)
K%:16.7%(2019)→19.8%(2020)
二塁打率:16.3(2019)→20.8(2020)

【メリハリをつけた打撃に変化!?】
リーグ21位と決して高い数値ではないが、BB%が良化し、昨年以上に四球を選んでいる(トップは村上:15.7%)。一方で、同時にK%も上昇し、昨年比で三振を多く喫している様子も伺える。

この変化から推察するに、カウントによっては四球を選びつつも、基本は三振を恐れず昨年比で強く振っていく意識があるのではないか。このことがIsoPや本塁打率の上昇に繋がっている可能性はあるだろう。
※昨年比で二塁打数も減っており、強く振る意識をもった結果、昨年まで二塁打であった当たりがオーバーフェンスとなっている一面もあるのではないか

※IsoP:(二塁打×1+三塁打×2+本塁打×3)÷ 打数 
→単打を評価の対象にせず、二塁打・三塁打・本塁打のみで純粋に長打力を評価した指標
※BB%:四球÷打席数
※K%:三振÷打席数

■本塁打王に向けて


★セ・リーグ本塁打数ランキング★
1位:大山 悠輔 26(残り試合:19)
2位:岡本 和真 25(残り試合:19)
3位:鈴木 誠也 24(残り試合:18)
4位:村上 宗隆 23(残り試合:20)

本塁打王を争うライバルたちと数本差の戦いが続く中で、大山はどこまで本数を伸ばせるのだろうか。球場別本塁打率を参考に見ていきたい。

★球場別本塁打率(大山)★
◆甲子園球場:16.5(残り試合:12)
◆横浜スタジアム:11.0(残り試合:3)
◆東京ドーム:30.0(残り試合:3)
◆マツダスタジアム:10.0(残り試合:1)

大山は本拠地甲子園での戦いが残りの大半を占める状況。これまでのペースを維持しつつ1試合に4打席回ると仮定すると、甲子園で3本、横浜スタジアムで1本が期待でき、30本の大台は見えてきている。

本塁打王へのカギは比較的本塁打が出易いとされる横浜スタジアム、東京ドームでいかに放てるかか。加えて本拠地のファンの声援を受けて甲子園で数を伸ばせれば、初のタイトルも夢ではないはずだ。

★球場別本塁打率(岡本)★
◆東京ドーム:11.5(残り試合:8)
◆横浜スタジアム:30.0(残り試合:4)
◆マツダスタジアム:8.5(残り試合:3)
◆神宮球場:14.0(残り試合:3)
◆甲子園球場:0.0(残り試合:1)

★球場別本塁打率(鈴木誠)★
◆マツダスタジアム:18.25(残り試合:8)
◆横浜スタジアム:13.0(残り試合:3)
◆甲子園球場:12.5(残り試合:3)
◆ナゴヤドーム:20.5(残り試合:3)
◆神宮球場:51.0(残り試合:1)

★球場別本塁打率(村上)★
◆神宮球場:15.9(残り試合:7)
◆東京ドーム:0.0(残り試合:5)
◆甲子園球場:34.0(残り試合:4)
◆マツダスタジアム:21.0(残り試合:3)
◆横浜スタジアム:17.7(残り試合:1)

本塁打率だけで考えると、ライバルとしては相性の良い球場(東京D・マツダ・神宮)と横浜スタジアムを残している岡本、本拠地神宮球場と相性こそ良くないが東京ドームを残している村上が本命か。

巨人、ヤクルトともに阪神戦を4試合残しており、味方投手陣がいかにこの2選手を抑えてアシストできるかもカギになるだろう。

※ここでの本塁打率は「打席数÷本塁打数」で算出

■新たなチームの顔として...

10月5日に再び返り咲き、11試合連続で4番に座っている大山に懸かるファンの期待は大きい。

チームの日本人としては84年の掛布氏以来36年ぶりの本塁打王へ、新たなチームの顔として成長を続ける"トラの4番"の活躍から目が離せない。

※データは全て2020年10月18日終了時点のもの

2020/10/19 by 19000034