選手レポート

巨人#18 菅野 智之
平成生まれ初の通算100勝到達。巨人のエースとしての足跡...

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■平成生まれ初の通算100勝到達


巨人・菅野智之が10月6日のDeNA戦で開幕からの13連勝を達成。
「開幕投手」として開幕からの13連勝は現チームメイトの岩隈が04年近鉄時代に成した12連勝を抜くプロ野球新記録、同時に13年のデビュー以来積み重ねた勝ち星も100となり、平成生まれ初の通算100勝達成投手となった。

通算192試合目(8シーズン)での100勝到達は歴代一桁順位のハイペース。現代野球では達成不可能とも囁かれる200勝到達をも期待させる菅野の成績を振り返りたい。

■先発としての安定した貢献


★年度別貯金数★
2013年:26先発13勝6敗(貯金7)
2014年:23先発12勝5敗(貯金7)
2015年:25先発10勝11敗(貯金-1)
2016年:26先発 9勝6敗(貯金3)
2017年:25先発17勝5敗(貯金12)
2018年:27先発15勝8敗(貯金7)
2019年:22先発11勝6敗(貯金5)
2020年:16先発13勝0敗(貯金13)

★年度別QS・HQS達成率★
2013年:QS率→69.2%、HQS→50.0%
2014年:QS率→78.2%、HQS→52.2%
2015年:QS率→80.0%、HQS→64.0%
2016年:QS率→84.6%、HQS→61.5%
2017年:QS率→84.0%、HQS→72.0%
2018年:QS率→70.3%、HQS→63.0%
2019年:QS率→63.6%、HQS→40.9%
2020年:QS率→87.5%、HQS→62.5%

【先発ローテの一角としてフル回転するタフさ】
ルーキーイヤーから7年連続で20試合以上の先発登板とローテーションの一角としてフル回転し、8年で7度の二桁勝利。19年の腰痛での離脱を除けば大きな故障なく毎年イニングを稼いで投手陣を引っ張っている。

【チームに貯金をもたらす負けない投球】
毎シーズン負け数が少ないのが特徴で、プロ入りからの8年間で貯金を作れなかったのは15年の一度だけ。通算100勝47敗とチームに53もの貯金をもたらしている大黒柱である。

【大きく崩れず試合を作れる高い安定感】
先発の安定度を計るQS率/HQS率からも試合を作る高い能力が見てとれる。
8年で4度のQS率80%越えは素晴らしく、また、QS達成時の中でのHQS率(7回自責2以下に抑えた登板率)の高さも特徴である。18年、19年とやや低下が見られたが、今シーズンはしっかりと持ち直しており、改めてエースとしての存在の大きさが伺える。

※クオリティスタート(QS):先発が6イニング以上を投げて自責点3以下に抑えた時に記録される指標
※ハイ・クオリティスタート(HQS):先発が7イニング以上を投げて自責点2以下に抑えた時に記録される指標

■勝率は歴代でもトップクラス


★歴代勝率ランキング (2000投球回以上)★
1位:藤本 英雄 .697
2位:稲尾 和久 .668
3位:斎藤 雅樹 .652
4位:杉内 俊哉 .648
5位:杉浦  忠 .638
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X位:菅野 智之 .680

前述のように勝ち星を重ねつつ負け数が少ないのが菅野の特徴。
現時点で1337投球回のためランキングには入らないが、「勝率:.680」は歴代でもトップクラスの数字である。このまま順調にイニングを重ねていけば、歴代の名選手の中に名を連ねる可能性も十分にあるだろう。

■輝きを取り戻した今シーズン


★直近5シーズンのK/BB★
2016年:7.27(189奪三振/26四球)
2017年:5.52(171奪三振/31四球)
2018年:5.41(200奪三振/37四球)
2019年:3.75(120奪三振/32四球)
2020年:5.68(108奪三振/19四球)

★直近5シーズンの被本塁打率★
2016年:0.59(12本塁打/183.1回)
2017年:0.48(10本塁打/187.1回)
2018年:0.62(14本塁打/202.0回)
2019年:1.32(20本塁打/136.1回)
2020年:0.63( 8本塁打/114.1回)

★直近5シーズンのWHIP★
2016年:0.99
2017年:0.85
2018年:1.00
2019年:1.25
2020年:0.85

腰痛での離脱があった19年の数値がやや低調であったが、今季は軒並み改善し過去年度と遜色ないレベルまで復活。
K/BBからは制球力、被本塁打率からはボールのチカラに衰えがないことが伺え、WHIPは1.0以下と許した走者も少なく、失点のリスクを抑えた投球に再び戻っている。

※K/BB:与四球1つあたりに対する奪三振数を用いて投手の制球力を示す指標(奪三振÷与四球)
※被本塁打率:9イニング当たりの被本塁打数(9×本塁打数÷投球回)
※WHIP:1投球回あたり出した走者数を表す指標( (与四球 + 被安打) ÷ 投球回)

■勝利を積み重ねた先に...


★NPB現役選手勝利数ランキング★
1位:石川 雅規 172
2位:涌井 秀章 143
3位:和田  毅 137
4位:内海 哲也 134
5位:金子 弌大 129
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11位:菅野 智之 100

無傷の13連勝という数字にも表れている通り目立った衰えは見られず、むしろフォームを試行錯誤しながら進化さえ続けている菅野。
直近3年でも平均13勝を挙げており、近いうちに勝利数ランキングの上位にも顔を出してくるはずだ。

山本昌氏が200勝を達成したのは42歳11ヶ月目、黒田氏が日米通算200勝を達成したのは41歳5ヶ月目。
菅野は10月11日に31歳の誕生日を迎えたばかりであり、このままのペースを維持できれば現代野球では不可能とも言われる200勝での名球会入りも見えてくるかもしれない。

早ければ21年にも海外FA権を取得する見込みだが、生涯巨人軍で200勝へ挑戦するエースの姿を見たいファンも多いのではないか。
"負けない男"の今後の一挙手一投足から目が離せない。

※データは全て2020年10月11日終了時点のもの

2020/10/12 by 19000034