選手レポート

巨人#0 増田 大輝
首位・巨人で光る増田大輝の存在

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■首位・巨人を支える隠れたチカラ


89試合を消化して57勝28敗4分と2位阪神に13.5ゲーム差をつけてセ・リーグ首位を独走している巨人。マジック17が点灯しており、リーグ制覇も時間の問題といった状況である。独走の裏には、坂本・岡本といった主力打撃陣、12勝0敗という圧倒的成績で投手陣をけん引するエース菅野の働きはもちろんのこと、適材適所でチカラを発揮する仕事人の存在があることも忘れてはならない。

ここではそんな仕事人の一人である増田大輝の貢献について見ていきたい。

■勝負所での盗塁の期待


★イニング別盗塁企図割合★
1-3回:4.76% ( 1/21回・成功: 1失敗:0)
4-6回:9.52% ( 2/21回・成功: 2失敗:0)
7-9回:85.7% (18/21回・成功:14失敗:4)

★点差別盗塁企図割合★
0点差 :19.0% ( 4/21回・成功: 3失敗:1)
1点差 :47.6% (10/21回・成功: 7失敗:3)
2点差 :9.52% ( 2/21回・成功: 2失敗:0)
3点差-:23.8% ( 5/21回・成功: 5失敗:0)

ここまで増田は代走または守備からの出場がメインで21回盗塁を企図して17回成功4回失敗という結果。7-9回の試合終盤、また0-2点差の接戦での企図が大半を占めており、試合の行方を左右する勝負所での役割が見て取れる。

直近の9/22,9/26で連続アウトとなりやや失敗数が目立つが、8/4-9/19までの8連続成功など1点が欲しい場面で多く結果を残しており、最終盤での切り札として貴重な存在となっている。

■守備のユーティリティー性


★2020年シーズン守備位置★
投手 : 1試合 守備率1.000
二塁手: 7試合 守備率1.000
三塁手: 3試合 守備率1.000
遊撃手:28試合 守備率1.000
左翼手: 7試合 守備率1.000
中堅手:11試合 守備率1.000
右翼手: 1試合 守備率1.000

守備位置の多様さも増田の特長である。8月6日の阪神戦で野手登録ながら投手としてマウンドに上がったことは記憶に新しいが、2020年シーズンだけでも内外野問わず7ポジションを守って無失策、更には有事に備えて捕手の準備もしているというのだから驚かざるを得ない。

監督にとって試合展開に拘らず臨機応変にフィールドに送り出すことができる存在は貴重だろう。ベンチ入りメンバーが限られる中で、単なる代走だけではなく、その先の守備固めまで見据えて起用できるユーティリティー性が光っている。

■スペシャリストとして更なる高みへ


★盗塁数5傑★
1位:周東(H) 30
2位:西川(F) 26
3位:近本(T) 22
4位:和田(M) 21
5位:増田(G) 17

★盗塁成功率5傑★
1位:佐野(B) 1.000 (成功:15失敗:0)
2位:周東(H) 0.909 (成功:30失敗:3)
3位:和田(M) 0.875 (成功:21失敗:3)
4位:西川(F) 0.867 (成功:26失敗:4)
5位:福田(B) 0.833 (成功:10失敗:2)


8位:増田(G) 0.810 (成功:17失敗:4)

増田は盗塁数は両リーグ通じて第5位(セ・リーグ2位)ながら、盗塁成功率は8位とやや低い位置。盗塁成功率はセ・リーグでは堂林(成功:14失敗:3)に次いで2位ではあるが、両リーグで見ると走塁のスペシャリストとして名を挙げている周東(H)、和田(M)、佐野(B)には水をあけられている。

巨人の代走としては鈴木尚広氏が有名だが、鈴木氏は現役最終年となった2016年にも「10盗塁企図10成功(牽制死は含まず)」を収めている。新時代のスペシャリストとして、今後増田には更なる確実性が求められてくるだろう。

※ランキングは盗塁成功数10以上の選手でのもの

■チームに無くてはならない存在へ


両リーグの首位争いをしているチームに走塁のスペシャリストの存在があるのはもはや偶然ではないだろう。1点が勝敗を分ける攻防において、盗塁で先の塁を奪う、1本のヒットで確実に生還する、といった役割は必須になっている。

守備でのユーティリティー性を生かしつつ、勝負所で走り切る確実性を上昇させ、"仕事人"としての立場を更に確固たるものにできるか。「増田大輝」のアナウンスで球場の雰囲気が変わる瞬間を楽しみにしたい。

※データは全て2020年10月4日終了時点のもの

2020/10/5 by 19000034