選手レポート

ロッテ#1 藤原 恭大
"何かをもっている"存在!? ロッテ・藤原恭大の現在地

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■CS進出に大きく貢献


11月8日、ロッテが4年ぶりのクライマックスシリーズ進出(CS進出)を決めた。最後は直接対決でライバル・西武を下しての2位確定となったが、最終盤でCS進出を手繰り寄せた裏にはこの男の存在が大きかったといっても過言ではないだろう。

藤原恭大。7日のオリックス戦では弾丸ライナーで右翼席へ飛び込む逆転3ランを放ち、キューステ!のAI査定では先発の二木を抑えて1位を獲得。続く8日の西武戦でもダメ押しの適時二塁打で存在感を示し、チームの勝利に大きく貢献した。

藤原は名門・大阪桐蔭高出身でドラフト時には3球団が競合した超有望株。そんな男の変遷を主戦場である二軍成績をもとに見てみたい。

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※11/7 ロッテ-オリックス キューステ!AI査定
→1位:藤原(18.2pt)、2位:二木(17.3pt)、3位:T-岡田(13.3pt)

■成績から見る現在地(1年目と2年目の比較)

【打率は横ばい】
1年目(2019):.227(82試合300打数68安打)
2年目(2020):.230(58試合226打数52安打)

ルーキーイヤーから打率に大きな変化はなし。リーグ平均は.259であり、"ヒットを打つ"という側面においてはリーグ平均以下となっている。

【長打力はアップ】
1年目(2019):本塁打率→1.3%, IsoP→.107
2年目(2020):本塁打率→3.1%, IsoP→.146

打数は少ないながら本塁打数は「4本(2019)→7本(2020)」と増加。IsoPはリーグ平均.122を上回っており、長打力においては進化が伺える。

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※IsoP:(二塁打×1+三塁打×2+本塁打×3)÷ 打数
→単打を含む長打率よりも更に純粋に長打力を評価するための指標

【四球率は向上/三振は多いタイプ】
1年目(2019):BB%→6.7, K%→24.0
2年目(2020):BB%→11.0, K%→28.5

2年目にかけてBB%が向上。リーグ平均9.8を上回っており、出塁率「.286(2019)→.332(2020)」の改善につながっている。
K%は2年目にかけて更に上昇しており、非常に高い数値(リーグ平均:18.6)。現状では四球を選べつつも、三振も多いというスタイルである。
※K%の高さは強くスイングしている代償(⇔長打力の向上)という側面もあるだろう

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※BB%:四球数 ÷ 打席数
※K%:三振数 ÷ 打席数

【勝負強さを発揮】
1年目(2019):得点圏打率(対右)→.182, 得点圏打率(対左)→.158
2年目(2020):得点圏打率(対右)→.321, 得点圏打率(対左)→.267

対左右投手問わず得点圏打率の向上が見られる。1軍で見せた勝負強さの片鱗が数値にも表れている。

【短評】
打率や三振率(K%)に改善の余地はあるが、長打力や出塁率といった核となる項目で明らかな向上が見られるのは流石と言ったところか。
盗塁「17企図14成功(盗塁成功率:82.4%)」と脚でも一定の結果を残しており、「長打力+脚力」が期待できる貴重な存在であることは間違いないだろう。

一方で改善は見られつつも、まだ決して二軍で突出した成績を残している訳ではないのもまた事実である。ただその中で一軍の重要な場面で結果を残すのは目に見えない"何かをもっている"存在なのかもしれない。

■日本シリーズ進出への起爆剤に

日本シリーズを懸けて争うのは好投手が揃うソフトバンク。今季12勝11敗1分と勝ち越している相手だが、直近の3連戦では1勝2敗と負け越しており、短期決戦を勝ち抜く上では何か起爆剤が欲しいところ。

藤原自身、対ソフトバンク(一軍)は「打率:.167(9試合30打数5安打)」と苦手にしているだけに、如何にこの苦手を克服できるかがチームにとってもカギになりそうだ。

"何かをもっている"とさえ思わせてくれる藤原の存在。日本シリーズ進出への起爆剤としてロッテファンはその活躍を願っている。

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※リーグ平均:イースタンリーグ平均
※データは全て2020年11月8日終了時点のもの

2020/11/10 by 19000034